【ブーケ】禁断情事:ホストと私 シナリオ公開(7)
- 2017年05月5日
- bouquet
お待たせいたしました!
ドラマCD「禁断情事:ホストと私」のシナリオ公開を更新です☆
今回も正海春人先生が読みやすく、小説風に書き換えてくださってますよ☆
通常版出演
皇帝/伊藤ヒロ/泥左衛門/飯田 進/横良 翔/船木ふな
金剛山寿一/小山田 樹/秦 弥助
ステラワース限定版出演
皇帝/船木ふな
連動購入特典出演
皇帝/伊藤ヒロ
Part.7「桐生正人と渚皐月」
電話で今から会おうと言われて私は頷いていた。桜庭さんに釘を刺されていたけど、友達として会うだけだと自分に言い訳をした。
同じ街で働いているのに、働く時間も働く場所も真逆。私が帰り始める時間にきっと桐生くんは出かける準備をするのだろう。そこまで考えて私はそれを振り切った。今は桐生くんとの時間をただ大事にしたかった。
「よお」
「……そんなに急がなくてもよかったのに」
走ってきたのか、電話を切ってからすぐに桐生くんはやってきた。どこに行くかも決めていなかった私たちはとりあえず歩きだした。こうして二人で歩くのは何年ぶりだろう。
「今日仕事は?」
「ある。でも出勤まで時間あるから」
「そうなんだ」
「仕事は?」と聞いておきながら、あることはわかっていた。桐生くんはタイトなスーツを着込んで、バッチリと髪型も決まっていたから。ただ、今は沈黙が嫌で話題を探しているのだ。
「……やっぱり今の俺と話すのは嫌?」
「そんなことないよ」
「嘘くせえ……なんかそわそわしてるし」
「し、してないよ」
「してるっつーの」
笑う桐生くんに、これ以上「してない」とは言えなくて、私は白状した。雰囲気が違うからだと。
「雰囲気かー。別にちょっと髪いじって派手めなスーツ着てるだけだぜ?」
「だから、ちょっと緊張してるの」
「そっか。それなら俺も同じ。電話した時からずっと緊張しっぱなし」
「それこそ嘘っぽい」
私も笑って返すと桐生くんが立ち止まった。つられて私も立ち止まる。
「嘘じゃねえって。なんなら俺の心臓の音、聞いてみるか?」
「えっっ……?」
「ほら、手貸して」
桐生くんが私の手を掴んだ。ドクンと大きく鼓動が跳ねて、やっぱり今でも桐生くんのことを特別だと思っているのだと自覚した。何か言わなきゃと思っていると別の声が私の浮ついた気持ちを砕いた。その声には、聞き覚えがあったから。
「皐月!」
「っ、愛……」
桐生くんが愛と呼んだ女性は、あの日桐生くんが接客していた人だった。愛さんは桐生くんのところに駆け寄ってくると、私の方に冷たい視線を浴びせた。
「……何、その子。手まで繋いで」
「これは……」
「ふうん……同伴もしないでこんな地味な子と過ごしたかったんだ? 皐月は。私が一緒にお店行きたいって言ったのに」
「…………」
「っ、何よ! いつまで手握ってんのよ!」
一瞬のことでよくわからなかった。ただ手にだけ引っかき傷と痛みが残っていた。遅れて愛さんに桐生くんから手を離させられたのだと理解した。心配する桐生くんに私は大丈夫だと頷いた。
「ふん……ちょっと爪が引っかかっただけじゃない。大げさね。そんな必死な顔しちゃって……まさか、本命とか言わないわよね?」
「……この子は同級生だよ。高校の時の」
「そう。じゃあ別に恋人でも客でもなんでもないのね?」
「うん……だけど俺にとっては大事な友達だ。だから、あんまり乱暴なことはしないでくれないかな」
桐生くんが怒っているのがわかる。お客さん相手だから『渚皐月』として対応している。きっと桐生くんはホストクラブでは『桐生正人』を捨てているのかもしれない。
本日のシナリオ公開はここまで☆
次回更新をお待ちください☆
※製作上の都合等により、実際に収録される内容とは異なる場合があります。予めご了承ください。
2017年5月31日発売
禁断情事:ホストと私
出演:皇帝 ほか
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