【ブーケ】禁断情事:芸能人とファン シナリオ公開 Part 8『目撃』
- 2016年10月23日
- bouquet
11月発売のドラマCD「禁断情事:芸能人とファン」のシナリオ公開を更新♪
9日間連続更新7日目です☆
脚本を担当してくださった「正海春人」先生が小説風に書き換えて下さってますよ☆
芸能人とファン キャスト
松浦 駿:土門 熱
藤堂リュウ:八王子タカオ
屋良:ワッショイ太郎
鴇田:バンジョー鯉乃助
清河:二階堂 剣
■Part8『目撃』
それはあの夜から三日後のことだった――。
芸能人を目指す後輩の鴇田くんとの帰り道、通りかかったあの公園の前で二つの陰が見えた。先に気づいたのは鴇田くんで私を連れて身を屈める。そこにいたのは松浦さんと、そして一度うちの店にも来たワイルド系のあの人だ。
私がアイドルに特別詳しいわけではなかったこともあって、あの時はわからなかったけど、やはり松浦さんと同じ事務所の人で藤堂リュウというアイドルだった。
「駿、お前、どういうつもりなんだよ?」
「…………」
「なんだよ、今日の収録……ぐだぐだだったじゃねえか」
「別に……そんなことない」
「本当か?」
二人の雰囲気は以前見た時よりも明らかに悪い。ピリピリした様子がこっちにまで伝わってくる。
「うるせえな、ほっとけよ」
「お前、最近歌も芝居もどっか全力じゃねえんだよ。自覚ねえのか?」
「……そんなことない」
「ふうん……じゃあ何か別のものがお前の邪魔になってる……ってことはねえよな?」
「……!」
苛立つ松浦さんとは対照的に藤堂さんは探るように静かに呟いた。
「……お前さ、俺が何も知らないであのカフェについて行ったと思ってんのか?」
藤堂さんは黙ったままの松浦さんに鋭い視線を向けていた。
雲行きがどんどん悪くなる。それはまるで今の空と同じ色。濃紺の空には灰色の雲が広がって月もない。ただ寂しげに外灯が一つ点いているだけだった。あの夜と同じ場所だとは思えないほど暗く、殺伐としている。
「最初は緩んだツラの原因を確かめるためだった。居心地の良いカフェ見つけて入り浸ってるくらいなんでもねえって思ったけどよ……」
「…………」
「けど最近お前の様子が変だから、屋良さんに聞いたんだよ。なんか変わったことでもあったのかって。そうしたら、女と二人でいたとか、立場をわかっていないとか……」
「……だったらどうだっていうんだ?」
「おかしいだろ。今まで仕事バカみたいな奴だったのに。お前、自分の立場わかってんのか?」
「……わかってるよ」
「全然わかってねえよ。あの子の前で、どんな顔してんのか鏡見たことねえだろ」
「っ、そんなんじゃない」
誰もいない公園に響く声は胸を締め付けるほど辛そうだった。三日前の夜、ここで見た松浦さんの笑顔はどこにもなくて、私はこみ上げる切なさを抱えたまま二人の様子を見守ることしかできなかった。
今回の更新はここまで!
次回の更新は【 10月24日(月) 】!
お楽しみに☆
2016年11月30日発売予定
禁断情事:芸能人とファン
出演:土門熱 ほか
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