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【ブーケ】禁断情事:芸能人とファン シナリオ公開 Part 5『笑顔』


11月発売のドラマCD「禁断情事:芸能人とファン」のシナリオ公開を更新♪
9日間連続更新4日目です☆

脚本を担当してくださった「正海春人」先生が小説風に書き換えて下さってますよ☆

芸能人とファン キャスト

松浦 駿:土門 熱
藤堂リュウ:八王子タカオ
屋良:ワッショイ太郎
鴇田:バンジョー鯉乃助
清河:二階堂 剣

 


■Part5『笑顔』

夜、カフェの前でのほんのひと時。その間に松浦さんは静かに私と再会した朝の話をしてくれた。その時、彼が何を思っていたのか、何を感じながらこの店に来てくれていたのか、教えてくれたそれは私にとってはとても嬉しいものだった。けれど、本心を話した松浦さんはどこかバツが悪そうで苦笑する。

「……幻滅した? 松浦駿、大したことないって」
「いいえ……」
「そう言ってくれると思った」

車のヘッドライトが近づいて、微かに松浦さんを照らす。その表情は微笑んでいるけど、胸が詰まりそうなほど切なくて。

「……なあ、今日仕事の後さ、時間ある? もし用事とかないんだったらこの先の公園に来てくれないか?」

車が流れる音に松浦さんの声がかき消えそうになる。その時、松浦さんが私にそっと顔を寄せて――。

「……少し、お前と話がしたいんだ」

囁く声。いつもならその声だけでドキドキしてしまいそうなのに、今日は少し切なかった。

仕事を終えて、私はすぐに松浦さんが指定した公園に向かった。店から公園までは近いはずなのに、走ってもなかなか着かないような錯覚を起こさせる。逸る心がそうさせていたのかもしれない。息を切らせて公園に入ると、ブランコが微かに揺れる音がした。

「まさか本当に来てくれるとは思わなかった……」

ぽつりと呟いた松浦さんの声は、はっきりとは聞き取れなくて思わず聞き返した。けれど彼は私の問いかけには答えず、テンションを切り替えるように私に座るように勧めた。
公園には小さな外灯と月の光だけ。夜の静けさの中でアイドルの松浦さんと二人でブランコに腰かけているなんて不思議な感覚だった。

「あの……ここでいいんですか?」
「ああ、うん。大丈夫。もう暗いし、帽子あるから。こんな時間にサングラスとかしてる方が怪しいだろ」
「……お仕事は?」
「あるにはあるけど……まあ、家で出来るやつだから。このあとちゃんとやるよ」
「そうですか……」

会話が途切れて、思わず持っていた紙袋をぎゅっと握った。静寂の中でのその音は、少し響く。

「……いい匂いがする。それ、もしかしてお前の夕飯?」
「あ、いえ。松浦さんに持ってきたんですけど……」
「俺に?」
「お待たせしてしまったし、お腹が空いてたらいけないと思って……」

なんとなく恥ずかしくて声が小さくなっていく。よほど変だったのか松浦さんは小さく噴き出した。

「す、すみません。やっぱりお腹、空いてないですよね」
「違うよ。俺の都合で呼んだのに、そこまで考えてくれたのが嬉しくてさ。優しいな」
「……無理、してません?」
「くくっ……無理なんてしてないよ。ほら、ちょうだい」

言われておずおずと紙袋を渡す。袋の中身はうちのカフェのフードメニュー。

「これ、俺が好きなやつ……」
「いつも夜、ドリンクとコレを注文されてるから……」
「覚えててくれたのか……」
「松浦さんが頼むメニューっていつも同じなので」
「くくっ……そうか。たしかに。ついいつも同じの頼んじゃうんだよな。実は今日もテイクアウトしたかったんだけど……って……あれ? そういえば俺が行った時、もうフード終わって……」
「簡単なので……で、でも内緒ですよ」

シフト上、今日のラストは私一人。職権濫用だけど一度きりだと言い訳して、松浦さんが好きなホットサンドを用意した。けれど後ろめたさもあって松浦さんに口止めのようなことを呟いていた。

「ふっ……くくくっ……はいはい、内緒ね。内緒……ははっ」

頬が熱くなる私をよそに、松浦さんは今まで見たことのないような表情で笑っていた――。


今回の更新はここまで!
次回の更新は【 10月21日(金) 】!
お楽しみに☆

【SAMPLE入り】禁断ジャケ絵03_トリミング


2016年11月30日発売予定
禁断情事:芸能人とファン
出演:土門熱 ほか
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