Velvet Vice

Velvet Voice(ベルベットボイス)レーベルリリース一覧

【ブーケ】禁断情事:芸能人とファン シナリオ公開 Part 3『重ねる時間』


11月発売のドラマCD「禁断情事:芸能人とファン」のシナリオ公開を更新♪
9日間連続更新2日目です☆

脚本を担当してくださった「正海春人」先生が小説風に書き換えて下さってますよ☆

芸能人とファン キャスト

松浦 駿:土門 熱
藤堂リュウ:八王子タカオ
屋良:ワッショイ太郎
鴇田:バンジョー鯉乃助
清河:二階堂 剣

 


■Part3『重ねる時間』

助けてくれた男性がLsグループのアイドル・松浦駿さんだとわかってから半年が過ぎた。
正体がわかった時、少し騒いでしまったからもしかしたらもう来てくれないのではと思ったけど、彼は変わらずうちの店の常連だ。

「こんばんは。いつものもらえる?」
「アイリッシュですか?」
「そう、今日はもう家に帰るだけだから」

変わったことと言えば、以前よりフランクになったということ。リラックスして過ごしてもらえるのはこの店の一員としては嬉しいことだった。松浦さんが注文するものもほとんど把握している。遅い時間帯の時はアイリッシュ、早朝の時はブレンドだ。

お会計に入ろうとした時、松浦さんよりも背丈のある人が横から顔を出す。

「あ、俺もこいつと同じやつ。アイリッシュ? でいいや」
「えっ、あっ……」

松浦さんが誰かと一緒なんて珍しい。驚いていると松浦さんは人差し指で軽くその人を指して――。

「ああ。こいつ、俺のツレ。気にしなくていいから」
「俺の紹介、適当じゃね? もっとあんだろー?」

松浦さんと同じ事務所の人だろうか。雰囲気も華がある。顔立ち松浦さんよりもワイルドな印象だ。仲が良いのか、砕けた様子でその人を窘める。

「お前、こんなとこで何言う気だよ。ここでは俺たちも普通の客」
「ふうん……なるほどね~」
「なんだよ」
「お前が居心地が良いっていう理由、なんとなくわかったわ」
「だろ?」

二人の会話を聞きながら、レジを打っていると視線を感じた。今の今まで一緒に来た人と話していたのに何故か彼がじっと見ていたのは私で、慣れたレジ操作にも緊張してしまう。

「あ、あの……」
「いや、なんでもない」

小さく笑いながら、ようやく私を見るのをやめた。何か失礼なことを言っただろうか。それとも何か失敗しているのか。ぐるぐると色んな考えが巡るけど、思い当たらない。

どういうつもりかはわからないけど、こんな綺麗でかっこいい男性に見つめられれば誰でも緊張する。僅かに乱れた心音を自覚しながら私はお釣りを手に取った。

「……250円のお返しです」
「ああ……どうも」

お釣りの受け渡し。たったそれだけのはずなのに、松浦さんの手が私に触れて、反射的に手を引いてしまった。
――自意識過剰。そんな言葉が頭を殴る。私は顔に集まる熱を隠して思い切り頭を下げた。

「も、申し訳ありません」
「いや、大丈夫。くくっ……」
「?」
「ごめ、やっぱ反応が面白くて……緊張しすぎ」

笑いをかみ殺してカウンターに落ちた小銭を拾う松浦さんに、私の熱は一気に上がる。

「そんなにかたくなるような相手じゃないから、俺もこいつも」
「す、すみません……」
「ああ、謝ってほしいとかじゃなくて。なんか見てて飽きないなって……」

からかわれたのはわかったけど、松浦さんの言葉の意味がわからず首を傾げた。松浦さんは変わらず楽しそうに微笑んでいる。

「うん……必死な感じが。俺のことを特別視しないようにしてくれてる? ……でも、緊張してる」

松浦さんの指摘は、私が彼を特別視しないようにしていて実はしてる、というようなもので、きちんと接客ができていなかったことに今度は血の気が引いた。硬直していると松浦さんはカウンターに少し身を乗り出して私に囁く。

「さっきのお釣りの時は、手が触れて驚いた?」
「!」
「あ、今度は赤くなった。ははっ、やっぱり面白い」

松浦さんの一挙一動が私の平常心を乱して、顔色すら簡単に変わってしまうようだ。けれど松浦さん自身は楽しそうでリラックスしているのがわかる。だから、からかわれているとわかっても少し嬉しくなって、私も一緒になって微笑んでいた。


今回の更新はここまで!
次回の更新は【 10月19日(水) 】!
お楽しみに☆

【SAMPLE入り】禁断ジャケ絵03_トリミング


2016年11月30日発売予定
禁断情事:芸能人とファン
出演:土門熱 ほか
ご予約はこちら
ステラワース限定版のご予約はこちら

 

LINEで送る
Pocket

Velvet Voice(ベルベットボイス)レーベルリリース一覧
ページのトップへ