【ブーケ】禁断情事:先生と生徒 シナリオ公開(3)『普通とは違う』
- 2016年07月17日
- bouquet
8月発売のドラマCD「先生と生徒」のシナリオ公開を更新♪
脚本を担当してくださった「正海春人」先生が小説風に書き換えて下さってますよ☆
先生と生徒キャスト
<本編出演>
杉原祐也:四ツ谷サイダー
谷口 明:絢瀬 零士
羽瀬冬一:背脂増々
真澄加奈:逢
滝本康介:常磐 周平
<ステラワース限定版出演>
杉原祐也:四ツ谷サイダー
<連動購入特典出演>
杉原祐也:四ツ谷サイダー
谷口 明:絢瀬 零士
羽瀬冬一:背脂増々
真澄加奈:逢
Part.3『普通とは違う』
研究室が集まる建物は閑散としていた。この時間はお昼に出ている先生もいれば、自室に籠っている先生もいて人の気配はあまり感じられない。廊下に漏れる部屋の光も点々としている。
先生の研究室は一番奥。廊下ではひと際薄暗い場所だけど、その部屋に明かりがあるだけで足取りが軽くなるのはいつものことだ。
周囲にあまり聞かれない程度にその扉にノックをすると、どうぞ、と返答がくる。
訪ねてきたのが私だとわかると先生は教師の仮面を外す。
「君か……早かったね」
「先生が待ってるって言ってたし……」
「なにそれ、それじゃあ俺が急がせたみたいだな」
「そういうわけじゃ、ないですけど……」
「そう……それじゃあ俺に早く会いたかった……で、いいのかな?」
決して他の生徒の前では出さない言葉遣い。私の前でしか見せない態度。
意地悪に微笑んだ先生は、私の、レポートの不備を直しに来たという理由を聞きながら扉側に回っていた。
鍵が閉まる音が耳に届く。
それが何を意味しているのかもうわかっている。先生はそれを合図に私を背後から強く抱きしめた。
「あんなの、ただの口実に決まってるでしょ……」
「先生……」
「君が友達と楽しそうにしてたから……ねえ、何を話してたの?」
言えるはずない。先生と私のことが噂になっているなんて。
適当な理由もすぐに思いつかなくて、私は言葉少なに呟いて俯いた。
けれど、誤魔化しも隠すことも意味がなかったようで。
「ふうん……そうやって俺にも誤魔化すんだ?」
思わず振り向くと先生は少し切なそうな表情を浮かべていた。だからつい、話を聞いていたのか尋ねてしまった。
「聞こえたんだよ……お互い傷つく、だっけ……君も、そう思う時はある?」
思うはずがない。
そんな気持ちを抱くくらいなら、先生のことを諦めるのも簡単だったはずだ。諦められなかったから、私はずっと先生の背中を追いかけていたのだ。
だから唇から零れる言葉はハッキリしていた。
それでも、私の気持ちを聞いても先生の笑顔は切ないもののままだった。
話を聞くとどうやら私との関係をたまに考えているという。
「このまま君を俺のものにしていていいのかって……俺は君に何もしてあげられないから……」
「真澄さんが言っていた通り、幸せな恋愛じゃない……デートもできないし、会いたい時に会えるわけでもない……普通とはやっぱり違う」
先生の気持ちが少しだけ痛くて私は思わず先生の服を掴んだ。
私のことをちゃんと想ってくれていることが伝わってくる。けれど一方でもしかしたら別れも考えているのではないかという不安も拭えなかった。
「ふっ……そんなに抱きつかなくても、俺から離れたりしないよ」
普段クールな印象の先生だけど、本当はすごく優しくて情熱的な人だ。私の不安な気持ちも、好きだという想いも全部受け取って、包んでくれる。抱きしめられた腕の力が、ただ安心をくれるのだ。
最初に惹かれたのは講義をしている真剣な姿だったのに、今はこの優しさに触れる度に『好き』が大きくなっていく。
「何度も考えるけど、結局答えはいつも一緒なんだ。君が俺以外の誰かを求める姿なんて、想像するのも嫌だ」
「それに、一度こうして君に触れてしまったんだ……途中で逃げたりしない」
先生は、私がいつも真っ直ぐに気持ちを向けてくれると言うけどそれは先生の方だ。
「……それでも君が逃げたいと思ったときはいつでも言って。君が傷つかないように……誰からも非難されないように、ちゃんと逃がしてあげるから」
私は先生の言葉を聞きながら、切なさで胸が締め付けられていた。出会う場所が大学じゃなくて、お互いの立場さえなければ何も問題ない普通の『恋人』でいられるのに――。
今回の更新はここまで!
次回は【 7月22日(金) 】を予定しています。
2016年8月24日発売予定
禁断情事:先生と生徒
出演:四ツ谷サイダー ほか
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