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【petit】佐和真中だらけ~彼とはじめての♡~ 王子様×メイド イントロダクション

  • 2017年01月17日
  • petit

お待たせしました……!
3月発売 〇〇だらけシリーズ「佐和真中だらけ~彼とはじめての♡~」人気第1位、王子様×メイドのイントロダクションを更新です☆


 

王子、アルフレッドは容姿、才能に恵まれ、多くの家臣やメイドに囲まれていた。
だが、王子の心は満たされることはなかった。

王宮に響く声はどれも感情が見えないし、表情も言葉も定型化されてつまらない。
どうしようもないほど退屈で、どうしようもないほどの孤独感。
それでも王子は穏やかに微笑み、何も望むことはなかった。

――あの日、“あなた”に出会うまでは。

王子が出会ったのは、ごく普通のメイドとして王宮に上がっていた“あなた”。

初対面は互いの不注意でぶつかって、“あなた”は転んだまま謝罪を繰り返すばかり。
体がぶつかったくらいで罰したりしないというのに。

その日の昼、王子は王宮の敷地内の森に出た。
馬から降りて少し歩くと頬に泥を付けて一生懸命働いている“あなた”に出会う。

真っ赤になって頬を隠す“あなた”に、王子は笑みが零れていた。

「しっかり受け答えするのにそうやって恥ずかしがると普通の女の子と変わらないんだな」

慌てて謝罪する“あなた”に王子は気にすることもなく言った。

「いいんじゃない? この王宮にいる人間は、職務は完璧にこなすけど人としてもの寂しいからね。仕事は仕事だと割り切っているのはいいんだけど上辺だけな気がして……って、俺は何を言っているんだろうな」

それは初めて話す自分の本音――。

“あなた”はそう話す王子がどこか寂し気に見えた。
また王子も“あなた”の表情に僅かに息を呑んだ。

心配そうで、少しだけ悲しそう。
王子はそんな表情を向けられるのも初めてで、胸の奥がじわじわと温かくなった。

それは満たされるような感覚で――。

「君みたいに素直な反応をしてくれるのは嬉しいよ」

翌日、王子は再び“あなた”の元にやってきた。
空は太陽がようやく昇ったばかりで空気は冷たい。
白くて小さな手を汚して働く“あなた”に。
王子の胸は締め付けられた。

“あなた”の手を取り、王子はしばらく温めていた。
優しい温度に包まれて気が緩んだのか“あなた”のお腹から小さな音がする。

“あなた”は羞恥心でいっぱいになっていたが、王子はただ心配だった。
聞けば朝食もまだだという。
王子は自分の懐から包みを取り出して、“あなた”に口を開けるように言った。

「散歩に出る時はいつも持ってるんだ。俺が小さい時から食べてるキャンディー」

口に広がる甘さと王子の優しさは“あなた”を笑顔にさせていた。

王子はそんな“あなた”を可愛いと思った。
それは初めて自然と生まれた気持ち。
同時に自分に何かできることはないかと王子は考えていた。

そして……。

「急用を思い出したからそろそろ行くよ。君も無理しないように」

王子は急いで王宮へ戻った。
そして、使用人頭に指示をする。

「今度から、俺に付けてほしい子がいるんだ――」

王子の傍に仕えるようになって数日。
日ごとに王子との距離が近づいているような気がした。
最初は肩に、そして頭を撫でられることもあった。
腰に手を回されるようになった頃には、手は当たり前のように絡められるようになった。

それはまるで何かにとりつかれたような迫り方で“あなた”は王子に恐怖すら感じるようになる――。


今回の更新はここまで!
次回更新をたのしみにお待ちください♪

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