【密カレ】同級生の彼と体育倉庫で……(出演:悠輝タクト) シナリオ公開(3)
- 2015年03月13日
- 密室に閉じ込められて、気になる彼にあんなコトやこんなコトをされちゃうシリーズ
ドラマCD「密室に閉じ込められて、気になる彼にあんなコトやこんなコトをされちゃうシリーズ」同級生の彼と体育倉庫で……の
シナリオ公開 第3回です!
そして、シナリオはドラマCDのシナリオを担当して下さった「Hayami」様が書いてくださいました~☆
お楽しみください♪
「ヒミツの場所は立ち入り禁止」
作:Hayami
私たちは校舎から中庭へとやって来ていた。中庭の半分を囲うようにコンクリートで出来た通路がある。そこに立って、私と雅也は中庭を眺めていた。中庭には青々とした芝生が茂り、真ん中には大きな木が一本、校舎と向かい合うように立っている。
「ねぇねぇ、見て。中庭は出し物禁止なの、変わってないんだね。ここ、昼寝するのにちょうど良くてさ、好きだったなぁ。文化祭の時もよくあそこにいたし、普段もお弁当食べた後、あそこで昼寝してたなぁ」
そう言って、雅也は大きな木の下を指差す。
「そうだったね」
私の頭の中に当時の光景がふいに浮かんだ。そよそよと吹く風に茶色の髪をなびかせて、気持ち良さそうに寝る雅也を少し遠い存在のように感じていた。
いつだって、雅也は私の近くにいた。けれど、時折、とても遠くに感じることがあった。それはきっと私が彼を好きだったからだろう。手を伸ばせば届いたかもしれない。でも、あの時の私にはそんな勇気はなかった。
私、後悔してるのかな……。
想いを伝えたくなかったわけじゃない。怖くて、伝えられなかっただけ。だから、きっと、今も雅也への気持ちを私は昇華出来ずにいるのかもしれない。
「そうそう! チャイムが鳴っても僕が起きなくてさ、君によくベランダから起こされたよね、懐かしいな」
そう言うと、雅也は校舎を見上げて、教室のベランダを指差した。
「あっ、ほら、あのベランダ。君がおっきい声で、『授業始まってるよー!!』って声かけてきてさ。君の声のせいで、他の教室からも人がベランダに出てきて……。僕、いっつもすっごく恥ずかしかったんだよ!」
「雅也が起きないのが悪いんでしょ?」
「そうかもしれないけどさー。昼の中庭ってすっごく気持ちいいんだもん。ぐっすり寝ちゃうのは僕だけのせいじゃないよー。あんなに気持ち良いあそこが悪い!」
胸を張って、自信満々に言う雅也がおかしくって、私はくすりと笑う。そんな私を見て、雅也も笑った。
「それにさ、確かにすっごく恥ずかしかったけど、毎回、君が起こしてくれるの……嬉しかったんだよね。だって、それだけ気にかけてくれてるってことでしょ? あそこだけじゃなくて、いろんなところでサボったり寝たりしてる僕を君はちゃんと探してくれて……」
確かにそうだった。
雅也がどこにいても、私は毎回探しに行って、次の授業には教室に連れ帰っていた。あの時は、“卒業出来ないと困るでしょ”と言っていたけれど、本当は雅也と一緒に卒業したかっただけだった。雅也と一緒に卒業したその後にちょっぴり期待していたのだ。
けれど、私と雅也の間には、今日まで何もなかった。
「あ、そうだ! 体育倉庫行こうよ! 体育倉庫と言えば、僕のサボり場所だったじゃん?」
雅也の思いつきで、私たちは体育倉庫へと向うことになった。
☆★☆
中庭から数分歩いたところに体育倉庫はあって、高校生の頃と変わらず、外観は砂ぼこりに汚れていて、なんだかほっとした。
体育倉庫の前からは校庭が見える。校庭には珍しく誰もいなかった。文化祭の間は中庭同様、校庭も使用禁止になる。それは今も昔も変わっていないようだった。
誰もいない校庭をぼーっと見ていると、背後から音が聞こえた。振り向くと、雅也が体育倉庫のドアの取っ手に手をかけているところだった。
「あっ! 開いてる! ラッキー!」
雅也は嬉しそうにドアを開ける。耳障りな音を立ててドアが開くと、薄暗い体育倉庫の中に所狭しと用具が置かれているのが見えた。
「でも、鍵開けっ放しにしてるなんて、不用心だなー」
雅也は中を覗き込みながら言う。
「ねぇ、大丈夫なの? 勝手に入ったりして……」
「僕たち、卒業生だから、入っても大丈夫だよ!」
不安げに言う私に雅也は即答する。この自信は一体どこからやって来るのだろう。私の気持ちも知らずに雅也は続ける。
「ねぇ、ちょっとここで休んでいかない? 僕、昔からここが好きなんだよね。ちょっと薄暗くって、秘密基地っぽいっていうのかな? 自分だけが知ってる場所って、特別な感じがするじゃん?」
「でも、勝手に入るのは……」
万が一、体育倉庫に入ったことが後々、先生にバレて、呼び出されるのだけは嫌だった私は、再度、雅也を止めようとする。けれど、雅也は私の背中を押した。
「大丈夫だって! ほら、早く早く!」
雅也に背中を押されたまま、押し切られるように私は体育倉庫に足を踏み入れた。埃っぽい匂いが鼻をつく。ここで雅也が授業をサボっていたことが昨日のことのように思い出された。私に続いて、雅也も体育倉庫に入ったことはドアの閉まる音でわかった。
今回のシナリオ公開はここまで!
次回更新をお待ちください♪
※製作上の都合等により、実際に収録される内容とは異なる場合があります。予めご了承ください。
2015年4月29日発売予定
密室に閉じ込められて、気になる彼にあんなコトやこんなコトをされちゃうシリーズ
第1弾:同級生の彼と体育倉庫で……
出演:悠輝タクト
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