【淫魔】一途な誘惑・多情な誘惑 シナリオ公開(2)
- 2016年08月15日
- 淫魔
柊三太さん出演!ドラマCD「淫魔:一途な誘惑・多情な誘惑」(9月28日発売予定)シナリオ公開更新♪
寝室の暗闇には重く鈍い秒針の音が響いていた。
少し具合が悪そうな息を漏らしながら、一途な淫魔は“あなた”の顔を覗き込み――。
「……ああ、目を覚ましたか」
一途な淫魔はほっとしたように言った。しかし、“あなた”は目の前にいる彼を警戒した目で見据える。
「そんなに怯えないでくれ。私はお前に無理強いするようなことはしない。……っ」
そこまで言って、一途な淫魔は言葉を詰まらせた。具合が悪そうな息は先程よりもひどくなっている。
「具合が悪いの……?」
“あなた”は息を切らし、時折苦しそうに顔を歪める一途な淫魔を伺い見た。
「いや、大丈夫だ。具合が悪いわけでは……。その……」
「何……?」
訝しみながらも具合が悪そうな一途な淫魔のことが心配になった“あなた”は彼の言葉の先を促す。
「……っ」
しかし、一途な淫魔は答えようと口を開きかけたものの、苦しそうに胸を抑え、その場に膝から崩れ落ちた。
「くっ……」
「大丈夫ですか……!?」
“あなた”は一途な淫魔が怪しい存在であることよりも、苦しんでいることが心配になり駆け寄った。けれど、一途な淫魔は“あなた”を制し、ゆっくりと立ち上がる。
「すまない……ここ最近、精気を吸えていなくてな。身体に力が入らないんだ」
「精気を?」
「そう、精気はなくとも生きていけるが、足りていないとどうしても体調が悪くなる。そして私は、心に決めた者からしか精気をもらわない。そう思える相手がここのところ、見つけられなかったのだ」
一途な淫魔の言葉に“あなた”は少々面食らった。根拠はなかったが、彼の言葉には嘘がないような気がした。
「そんなに驚くことだろうか。……私は誰でもいいとは思えない。精気を吸うということは、真心を貰うものだと思っている。そんな相手を、誰でもいいだなんて言えないだろう」
“悪い人ではないのかもしれない……”と“あなた”は一途な淫魔の話を聞きながらぼんやりと思う。実際、すぐに襲おうと思えば襲えたはずなのに、彼は“あなた”の返事をずっと待ってくれていた。
「だから、私はお前のような人間に出会えるのを、ずっと待っていた。こんなにも心の底から欲しいと思う人間を、私は他に知らない。淫魔である私がこんなことを言うのは、おかしいと思うか……?」
真っ直ぐな瞳で一途な淫魔は“あなた”を見つめ、その問いの答えを静かに待つ。その姿に“あなた”は次第に警戒心を解かれつつあった。
次回は、【 8月16日 】更新予定!
お楽しみに☆
2016年9月28日発売予定
ドラマCD「淫魔」
一途な誘惑・多情な誘惑
出演:柊三太
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