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【ブーケ】禁断情事:芸能人とファン シナリオ公開 Part 11『告白』


11月発売のドラマCD「禁断情事:芸能人とファン」のシナリオ公開を更新♪

脚本を担当してくださった「正海春人」先生が小説風に書き換えて下さってますよ☆

芸能人とファン キャスト

松浦 駿:土門 熱
藤堂リュウ:八王子タカオ
屋良:ワッショイ太郎
鴇田:バンジョー鯉乃助
清河:二階堂 剣

 


■Part11『告白』

松浦さんの部屋での一件から数日が過ぎた。あれから松浦さんとは会っていない。近づいたらいけない人。踏み込んだらいけない人。この数日そんな言い訳を自分につけていた。けれど松浦さんのことは心配で、気づけば彼のことばかり考えている。

私は部外者で、松浦さんとは何の関係もない。気にする必要はない。そう言い聞かせても振り切ることはできなかった。私をからかって浮かべる悪戯な笑みも、楽しそうに笑った顔も、辛そうな顔も全部覚えている。忘れられなかった。松浦さんの手の温もりや私を見つめてくれた瞳が――忘れられなかった。

閉店後の店内。シャッターも人がくぐれる程度まで下ろしている状態で、私は一人、フロアの清掃作業をしていた。椅子を動かす音、モップが床を拭く音、自分の足音。それ以外に音はない――はずだった。

入口の方から聞こえる足音と同時に、その声は聞こえた。

「お疲れ様」
「!」
「珍しいな、今日は一人? 奥にまだ誰かいる?」

たしかに奥のスタッフルームに先輩の清河さんがいる。けれどそれを言葉にするよりも前に、驚いた私は違うことを呟いた。

「どうして……」
「ん? 待ち伏せ……のつもりだったんだけど、シャッター全部閉まってなかったし、くぐれそうだったから……」

あの日、別れた時の松浦さんと今の松浦さんとでは、何かが違って見えた。悩んでいた彼はどこにもいない。

「仕事の邪魔だってわかってるけど……少し話がしたかったんだ。ここなら……今なら誰にも邪魔されないと思って……」

松浦さんは私を見つめた。その瞳はあの部屋で向けられたものと同じ――。

「この前はうちのマネージャーが失礼なことを言って本当にごめん。あの人にあんなふうに言わせたのは俺の責任だ。俺が全部あやふやな態度を取っていたから……」
「……舞台の話、ですか?」

松浦さんが直面していた壁。松浦さんの部屋で聞いた話だ。

「それもあるけど、仕事のことは屋良さんやリュウと話し合って自分の中で整理をつけることができた」
「じゃあもうお仕事に集中できて……」

ほっとしながらそう言うと松浦さんは首を左右に振る。

「いや……まだ、ダメなんだ。集中できなくて、どうしようもなくて……だからケリ、つけにきた」
「…………」
「言っただろ。向き合うのはリュウや仕事関係だけじゃない。自分自身にもそうするって。正直今でも迷ってる。けどあの一件でここに来れなくなるのは……いや、お前に会えなくなるのは絶対に嫌だから。この店に来ることが許されないなら、別の場所で会うしかないって……」

松浦さんに会った瞬間から胸の奥の方が切なく疼いていた。けれど今は熱い視線を向けられて、鼓動はこんなにも正直に高鳴っている。

「……俺は、お前が好きだ」
「……っ」
「これ、からかってるとかじゃなくて本気だから」

会えなかった数日が多分私たちの心の距離を縮めていたのかもしれない。私もずっと松浦さんのことを考えていたから。嬉しくて、心のままに応えたかった。でも単純にこの現実に甘えられるほど、子どもでもない。彼はアイドルだから――。

迷う私に松浦さんは小さく微笑む。

「明日また来る。よかったらその時に答え聞かせてほしい。俺みたいなのに言われても、お前を困らせるだけってわかってるんだけど、伝えずに諦めきれなくて……あんまり考える時間がなくて悪いんだけど……ごめんな」

松浦さんはそう言い残して帰っていった。私は再び音のなくなったフロアで息を吐く。嬉しくて幸せなはずなのに、松浦さんの気持ちを受け取っていいのか悩んでいる。会いたくて、好きだと自覚して、心は真っすぐに彼に向いているのに――。


今回の更新はここまで!
次回の更新をお楽しみに☆

【SAMPLE入り】禁断ジャケ絵03_トリミング


2016年11月30日発売予定
禁断情事:芸能人とファン
出演:土門熱 ほか
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