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【ブーケ】禁断情事:芸能人とファン シナリオ公開 Part 10『触れ合った手』


11月発売のドラマCD「禁断情事:芸能人とファン」のシナリオ公開を更新♪
9日間連続更新9日目、最終日です☆

脚本を担当してくださった「正海春人」先生が小説風に書き換えて下さってますよ☆

芸能人とファン キャスト

松浦 駿:土門 熱
藤堂リュウ:八王子タカオ
屋良:ワッショイ太郎
鴇田:バンジョー鯉乃助
清河:二階堂 剣

 


■Part10『触れ合った手』

松浦さんの部屋は高層階。大きな窓には雨粒が流れている。スタイリッシュなモダン家具でまとめられた部屋に橙色の間接照明が落ち着いた雰囲気を演出していた。

誰も聞いていないこの部屋で彼が私に話してくれたのは、あの夜の続き。その内容の根底には松浦さんの優しさがある。いち店員の私に何が言えるわけでもないけれど、それでも気持ちを込めて話すと松浦さんは笑ってくれた。

そして――。

「……っ!」
「ごめん……少しだけ、手貸して……ほんのちょっとでいい。少ししたら、ちゃんと離すから」

可笑しそうに笑っていたのに、今は優しい笑みを浮かべている。松浦さんは私の手に触れて、そっと指を絡めた。
私はまたからかわれているのかも……と思って拍動する胸を意識しないように呟いた。

「……いつも私のことからかいますよね」
「そうだな、自覚はあるかも。前にも言ったけど、お前の表情ってコロコロ変わって面白いから……赤くなったり、焦ったり、ふくれたり……」
「っ、顔に出るんです」
「うん、知ってる。だからお前の反応に嘘がないってわかるんだ」

胸を叩く音が煩い。平静を保つのも難しくて、私は緊張で震える唇を何とか動かす。

「褒めてます?」
「もちろん。どんな表情も良いと思うよ。特に、いらっしゃいませって、いつも笑顔で迎えてくれる顔……すごく好きだ」
「……っ、ありがとう、ございます」

好き――。その言葉に深い意味はないはずだ。それなのに意識せずにはいられない自分がいる。バカみたいに正直に鼓動は高鳴っていた。
松浦さんと絡み合った視線には恥ずかしくて耐えられない。距離を縮められて息を呑む。

「……目、逸らさないで」
「で、でも……」
「近すぎ? そうだな……もっと近づいたら、キスできる……」
「!」

繋がった手に、松浦さんの力がこもった。この部屋には私たちの静かな息遣いしかない。

「俺……俺さ……――」

松浦さんが何かを言いかけた瞬間、不意に鳴ったのはインターホン。それは松浦さんが手の届かない人なのだと、アイドルなのだと突き付ける、来訪者の足音だった――。


今回の更新はここまで!
次回の更新をお楽しみに☆

【SAMPLE入り】禁断ジャケ絵03_トリミング


2016年11月30日発売予定
禁断情事:芸能人とファン
出演:土門熱 ほか
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