【ブーケ】禁断情事:先生と生徒 シナリオ公開(4)『冷たい目』
- 2016年07月22日
- bouquet
8月発売のドラマCD「先生と生徒」のシナリオ公開を更新♪
脚本を担当してくださった「正海春人」先生が小説風に書き換えて下さってますよ☆
先生と生徒キャスト
<本編出演>
杉原祐也:四ツ谷サイダー
谷口 明:絢瀬 零士
羽瀬冬一:背脂増々
真澄加奈:逢
滝本康介:常磐 周平
<ステラワース限定版出演>
杉原祐也:四ツ谷サイダー
<連動購入特典出演>
杉原祐也:四ツ谷サイダー
谷口 明:絢瀬 零士
羽瀬冬一:背脂増々
真澄加奈:逢
Part.4『冷たい目』
「予鈴鳴ったし急いだ方がいいな」
先生が時計を確認して呟いた。私たちは足早に廊下を進む。
研究室を出れば先生から甘さは消えて、今は生徒に接する教師の顔だ。
だから私がもっと一緒にいたいと駄々を捏ねても、こういう時は聞いてくれない。
「出席を取らなくてもダメです。講師っていうのは、結構ちゃんと見てるんですよ。次は……社会学でしたか? たしか講師は……」
話しながら角を曲がろうとした時だった。先生の話に答えるような声がして、ドキリと胸が音を立てる。
その先にいたのは羽瀬くんで、私は慌てて平常心を装った。まだ心音は先生が研究室でくれた熱で騒いでいたから。
「おい、次の岸田先生の授業、休講だぞ。メール、回ってきてる」
悟られないように、極力羽瀬くんの顔を見ないようにして自分の携帯でそのメールを開く。けれど彼の視線が突き刺さって、顔を上げるタイミングが見つからない。
「……それで、レポートの不備は直せたのか?」
「う、うん……」
「ふうん……ずいぶん長かったんだな」
彼は元々いろんなことに鋭い人だから、心を見透かされそうな気分になる。何か理由をつけようか考えていると先生が先に応えた。
「僕が引き止めてしまったんですよ。資料の整理をしてたので彼女の手を借りてしまいました。羽瀬くんはどうしてここに?」
「こいつの後輩に捕まったからですよ。ほら、あそこ」
羽瀬くんが指さした先にはサークルの後輩、滝本くんがいた。私を見つけるやいなや猛スピードで走ってくる。
「昼休み、お前が出てってすぐこいつが来たんだよ。鬱陶しいから連絡先くらい教えとけよ」
滝本くんの用事は私に勉強を教えて欲しいというものだった。経済学なら私の成績は自分でも悪くないと言える自信があった。
先生に振り向いてほしくて、私を目にとめてほしくて、そんな下心を抱いてずっと勉強してきたのだから。
だから、私の成績は仲間内では知るところで同級生や後輩にこうしてたまに頼まれるのだ。
先生の横で私にお願いをする滝本くんの姿に、羽瀬くんが呆れた溜息を漏らす。
「それなら杉原先生が目の前にいるぞ」
「杉原先生も優しいけど、先輩の方がもっと優しいですから、こうしてお願いに来てるんですよ。羽瀬先輩、分かってないなーこの繊細な男心を!」
「不純だ」
「ねー先輩、いいっすよね!? サークル引退してから全然会わなくなっちゃったし、たまには後輩の相手してくださいよー」
先生もこの後は授業がなくて、あとは4限にゼミがあるだけだ。
羽瀬くんの言う通り、先生が申し出たけど滝本くんにとっては何かが違うらしい。
私も授業の後なら問題はないから頷くと滝本くんは嬉しそうに満面の笑みを浮かべた。
「マジですか!? やりぃ♪ 先輩何限で終わり!?」
「ったく、甘いな、お前。滝本、杉原先生の立場も考えろよ。なあ、杉原先生」
「…………」
先生の反応がすぐになくて、私はそっと先生に視線を移した。何を考えているのかわからなかったけど、眼鏡の奥にあった目は、私に向けるものでも、生徒に向けるものでもなかった。
少しだけ、冷たい印象だった――。
今回の更新はここまで!
次回は【 7月24日(日) 】を予定しています。
2016年8月24日発売予定
禁断情事:先生と生徒
出演:四ツ谷サイダー ほか
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