【密カレ】同級生の彼と体育倉庫で……(出演:悠輝タクト) イラスト&シナリオ公開(1)
- 2015年03月5日
- 密室に閉じ込められて、気になる彼にあんなコトやこんなコトをされちゃうシリーズ
ドラマCD「密室に閉じ込められて、気になる彼にあんなコトやこんなコトをされちゃうシリーズ」同級生の彼と体育倉庫で……の
シナリオ公開です!今回は私小説風のシナリオです(セリフはCD内に収録されているものと同一です)。
そして、シナリオはドラマCDのシナリオを担当して下さった「Hayami」様が書いてくださいました。
お楽しみください♪
「再会は突然に」
作:Hayami
久しぶりにやって来た高校の文化祭は、あの頃と何も変わってなどいなかった。下駄箱も掲示板も、何もかもあの頃のままで懐かしい。
あちらこちらから聞こえる生徒たちの元気な声に、私は自分が高校生だった頃をほんの少し重ねる。
「ねぇ、待って!」
嘘……。だって、この声は――。
突然、背後から誰かが走ってくる足音が聞こえたと思ったら、声の主は突然私の腕を思いきり掴んだ。
「えっ……?」
私は驚いて、後ろを振り向く。
「久しぶり……!」
息を切らしながら、振り向いた先に立っていたのは、私が高校の三年間片思いをしていた雅也だった。
「ひ、久しぶり……」
私はドキドキして、そう返すのが精いっぱいだった。
「ごめん。いきなり、腕掴んだりして……。何度も呼んだんだけど、気づいてもらえなかったから、つい……。ホントごめんね。大丈夫?」
雅也は私の顔を覗き込み、申し訳なさそうに言った。
「う、うん」
私は雅也から視線を外し、ドキドキしているのを悟られないように答えた。
「良かった」
「それにしても、本当に君にここで会えるなんて思わなかったなぁ。すっごく嬉しいよ」
「何? 今、何て言ったの?」
途中、雅也の言葉か喧噪で聞き取れず、私は訊き返す。
「ううん! 何でもないよ。こっちの話。ねぇ、君と最後に会ったのって、高校の卒業式だったよね。君は都内の大学に進学決まって、春休みに入るとすぐに東京行っちゃったから……。ていうか、僕のこと、誰だかわかる、よね?」
雅也は少し不安そうに私を見る。
「雅也でしょ?」
私は雅也の目をしっかりと見て微笑んだ。
「良かったぁ! 忘れられてたらどうしようって思っちゃったよ」
「ふふ、忘れるわけないじゃない」
だって、あんなに好きだったのに――。
私は途中まで出かかりそうな言葉を飲み込んだ。
「ホントにー? 僕の顔見た時、ぽかーんってしてたじゃん。まぁ、あれだけ仲良かったのに忘れられてたら、かなりショックだけど。でもさ、高校卒業してから、十年くらい経ってるでしょ? だから、ちょっと不安になったんだ。メールも電話も、ずーっとしてなかったし……。ホントは連絡したかったんだけどね」
「連絡したけど、繋がらなくって……」
「……実はさ、高校卒業した後、ケータイ壊れて、データ飛んじゃったんだよね」
「えっ!?」
私は雅也に以前メールをしたけれど、送信エラーで戻って来てしまった時のことを思い出していた。てっきり、連絡先を変えた時に教えてくれなかったのだと思っていたのだけど、そうではなかったらしい。ずっともやもやしていた心が晴れていくような気がした。
「階段の上から下まで落っことしちゃって、画面は大丈夫だったのに、データは全部パー。バックアップも取ってなかったから、どうすることも出来なくてさ。だから、未だに高校時代の友達の連絡先、ほとんどアドレス帳に入ってないんだ。同じ大学だった人とか、道で偶然ばったり会えた友達のデータは、入ってるんだけど」
「そうだったんだ」
私は予想外の理由に驚くと同時にほっとしていた。
なんだ、嫌われたわけじゃなかったんだ……。
「君とは連絡取りたいと思ってたんだけど、なんだか、君の連絡先聞くのも恥ずかしくって……」
「そうだったんだね」
「あっ、ねぇ、ここで立ち止まってると、邪魔になりそうじゃない? 少し歩こうよ」
「うん」
私の返事を聞くと、雅也は歩き出した。私も遅れないようについていく。
また、こんな風に一緒にこの廊下を歩けるなんて、夢みたい――。
私は高鳴る鼓動を悟られないように、幸せをかみ締めていた。
今回のシナリオ公開はここまで!
次回更新をお待ちください♪
※製作上の都合等により、実際に収録される内容とは異なる場合があります。予めご了承ください。
2015年4月29日発売予定
密室に閉じ込められて、気になる彼にあんなコトやこんなコトをされちゃうシリーズ
同級生の彼と体育倉庫で……
出演:悠輝タクト
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