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【密カレ】同級生の彼と体育倉庫で…… シナリオ公開(11)

ドラマCD「密室に閉じ込められて、気になる彼にあんなコトやこんなコトをされちゃうシリーズ:同級生の彼と体育倉庫で……」のシナリオ公開 第11回です!

そして、今回もシナリオはドラマCDのシナリオを担当して下さった「Hayami」様が書いてくださいました~☆

お楽しみください♪


「甘い疼きに身悶えて」

作:Hayami

私たちは無事体育倉庫から出ることが出来た後、帰路に着いていた。

「ありがとう……。僕も君を、その……近くに感じられて嬉しかった。二人っきりでこんなに長い時間一緒にいるなんて、高校の時以来だったし。ホントに楽しかったよ」

雅也はいつものように優しい微笑みを浮かべて、

「でもさ、文化祭回れなかったのは、ホントに悪いと思ってるんだ。……だから、来年の学祭もまた一緒に来よう?」

「うん、私も来年また雅也と一緒に来たいな」

「嬉しい。約束だよ?」

雅也はそう言って、私の顔を覗き込む。

「なんだか、デートの約束みたい」

「だって、デートでしょ? 恋人同士なんだから」

恋人同士――。
そのたった一言に、胸がきゅんとする。
ずっと憧れていた言葉、ずっと欲しかった言葉。
時間はかかったけれど、今、確かに雅也の口から聞けたことが、嬉しかった。

「今日だって、適当な気持ちで君を抱いたわけじゃないんだよ。好きだし、大切にしたいって思ったから……」

雅也は言い終えると同時に私の腕を引っ張り、突然、抱きしめた。

「ごめん、いきなり……。でも、こうして腕の中に君を抱きしめることが出来るなんて、夢みたいだなって思って……」

雅也の声が耳元で甘く響く。

「こんな日が来るなんて、思ってもみなかった」

「雅也……」

「本当に幸せだよ――」

雅也は私を抱きしめる手にぎゅっと力を込めて、強く抱きしめる。
私も彼の気持ちに応えるように、そっと背中に手を伸ばすと、ぎゅっと抱きしめた。

☆★☆

時間はあっという間に過ぎていく。
気が付けば、私の家のすぐ近くまで帰って来ていた。
夕暮れの空は、赤から紫へ、そして青へと、その色を変えようとしている。
もうすぐ夜が来るのだと、何だか少し寂しくなった。

「この道もよく通ったよね。懐かしいなぁ。いつも君と喋り足りないから、送ってくって言ってたじゃん?」

「そうだったね」

私は昔のことを思い出して懐かしくなる。
あの頃の私たちは、いくら喋ったって、喋り足りなかった。
そうして、彼はいつも私を家まで、わざわざ遠回りして帰っていた。

「でも、この道って暗くなると、あんまり人通りがなくて心配だったから送ってたんだ」

「えっ……」

雅也の意外な告白には驚く。

「勿論、もっと喋りたい、ちょっとでも君と一緒にいたいとも思ってたよ。だから、遠回りも全然苦じゃなかった」

「そうだったんだ……」

あの頃、雅也が私を心配してくれていたなんて、微塵も思っていなかった。
雅也の言葉の意味をそのまま受け取ることしか出来ない、私は子供だったのだろう。

私は勇気を振り絞って、口を開く。

「……私も一緒にいたかったよ?」

いくら気持ちが通じ合ったからと言って、自分の思っていることを相手に伝えるのにはそれ相応の勇気が必要だった。

「……ホントに? 君もそう思ってくれてたんだ? 嬉しいな。僕たちって、もしかして、あの頃から相思相愛だったのかな?」

「……う~ん……ヒミツ!」

「えー、教えてくれたっていいじゃーん!」

雅也は子どもみたいに口を尖らせる。

「僕がこんなに気持ちを伝えてるのに、君は教えてくれないんだね……! まぁ、でも、あの時、気持ちを伝えなかったおかげで、今、こうやって、一緒にいられるって思えば、これで良かったのかなぁ……」

「どういうこと?」

「うーん。学生の頃の遠距離って難しいんじゃないかなって。会いにいく為のお金もないし、勉強もしなきゃいけないし。お金を貯めるにはアルバイトもしないといけないけど、
アルバイトのしすぎも良くないし……。全部をバランス良くこなさなきゃいけないって、難しいじゃん?」

「それは確かに大学生にはちょっと難しいかもね」

実際、お金だって余裕だって、大学生の頃の私は今の私より明らかにない。

「社会人の方が学生に比べると、断然大変なんだけど、あの頃はキャパ自体がなかったから、忙しいって勘違いしがちでさ。もし、あの時、君と付き合えてたとしても、上手くいってなかったんじゃないかなーって思うんだ。でも、オトナになった分、今は心に余裕があるっていうか……」

「私もそんな気がする……」

「仕事も覚えてきて、時間的な余裕はなくても、精神的な余裕も金銭的な余裕も昔よりはあるでしょ? だから、物理的に困ることは少ないんじゃないかなって思って」

「確かにそうだね」

「だから、君と今、恋人同士になれたのって、すごくタイミングが良い気がするんだ」

雅也の言う通りだ。
あの頃付き合って失敗してしまうより、今から付き合って、この先もずっと一緒にいられる方がずっといい。

私たちはもしかしたら、このタイミングを知らず知らずのうちに待っていたのかもしれない。
これからもずっとずっと、二人で一緒にいる為に――。


 

今回のシナリオ公開はここまで!

発売まであと少し♪ 楽しみにお待ちください☆

※製作上の都合等により、実際に収録される内容とは異なる場合があります。予めご了承ください。

2015年4月29日発売予定
密室に閉じ込められて、気になる彼にあんなコトやこんなコトをされちゃうシリーズ
同級生の彼と体育倉庫で……

出演:悠輝タクト
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