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【ブーケ】禁断情事:執事とお嬢様 シナリオ公開(1)


大変お待たせいたしました……!
ドラマCD「禁断情事:執事とお嬢様」のシナリオ公開が本日より開始です☆

今回も正海春人先生が読みやすく、小説風に書き換えてくださってますよ☆

通常版出演

平井達矢/TOSAKA/神月あおい/鞠男.net/笹崎こじろう

ステラワース限定版出演

平井達矢/TOSAKA

連動購入特典出演

平井達矢/TOSAKA/鞠男.net/笹崎こじろう


Part1「初めての悩み」

元華族の家柄に生まれた私は十九年間悩みも迷いもなく、何不自由なく育った。母は幼い時に亡くなってしまったけど、父の愛情と賑やかな使用人たちがいてくれたおかげで寂しいと思うことはなかった。
だから、深く悩むこともなく生きてきたツケが回ってきたのだろう。二十歳を目前にして、自分では解決できる自信のない問題に直面していた。それはアフタヌーンティーの時間にも引きずっていて、溜息も知らず知らずに出ていたようだ。
私の様子に気づいた使用人たちが心配そうに声をかけてくる。当然かもしれない。お茶の時間にこんなに憂鬱な気分でいるのは初めてだったから。

「お嬢様、言いづらいことならば無理には聞きません。ですが、溜め込んでいてはお心に負荷がかかってしまいます。私どもで聞けることならいつでも仰ってください」

そう言ったのは執事の小林だ。私が五歳の時に私の専属になった。
男性にしては少し長い髪。けれどきちんとまとめてあって、指先も綺麗にケアがされている。切れ長な目には意志の強さや厳しさが見えるけど、私を心配する時はその目の色が少しだけ変わるのだ。

「……進路のことでちょっとね」

黙ったままでは余計に心配される。私は曖昧に呟いた。
同級生が着実に自分の道を見つけて前に向かっている中で、この悩みを話すのはカッコ悪い気がして、声は小さくなっていた。自分でなんとかしたいという小さなプライドからだった。

「あーそうか。早ければ就職活動とか考える年齢ですよね、お嬢様も。けど、お嬢様の将来って一応決まってるんじゃ……。俺はてっきりその道に進むんだと思ってましたけど」

納得したように呟いたのは庭師をしている使用人の遠山だ。筋肉質でワイルドな風貌、口は良くないし小林曰く『遊び人』らしいけど、真っ直ぐな性格は好ましくてよく私の話し相手になってくれている。
その遠山の疑問に小林が答えた。

「そうですね。お嬢様の将来は、旦那様がお決めになられていますが」
「……わかってるわ」
「旦那様が経営されているのは世間でいえばトップ企業ばかりです。そのいずれかで働かれるのはお嫌ですか?」
「嫌じゃないけど……」
「では一体どうされたのです」
「…………」

小林の問いに私は黙った。
苦労することなく安定した未来が用意されているというのに、私の悩みはたしかに贅沢なのかもしれない。けれど同級生の進路を聞いて揺れているのだ。決められた道に身を任せたままでいいのかと思い始めていた。
それを察したように、ばあやが笑みを浮かべた。

「お嬢さん、何かご友人から聞きましたか?」
「えっ……?」
「そうやって自分の進路を考え直している……随分と大人になりましたねえ」
「……これでも真剣に悩んでるのよ」

ばあやは私のお母さん代わりのような人で、色々と見抜かれていることが多い。だからと言って踏み込んでくる人ではない。それでも私がここまで悩む姿を見ることは、ばあやもそう多くはなかったはずだ。私にどんな話を同級生から聞いたのか尋ねてきた。
私が聞いたのは自分の夢や目標を見つけて、そのために進むべき道を選んだり、卒業と同時に恋人との結婚を決めている子もいた。

「たしかにそのご友人のように良きお相手がいらっしゃれば、お嬢様にもそういう道があったかもしれません」

小林の言い分に少しだけムッとした。わかっているくせに言うのだから意地悪だと思う。

「どうせそんな相手いないわ」
「……。本当に、いらっしゃらないんですか?」
「どうしてそんなこと聞くの?」
「いえ、差し出がましい質問でした。申し訳ございません」

私は小林の言葉に首を傾げた。何故そんな確認するように聞くのだろう。小林は徹底して職務に忠実。私の質問には何でも答えてくれるけど、自ら詮索するようなことは聞いてこない。
おかわりのお茶を置いてくれた小林に目を向けたけど、そこにいるのはいつもと変わらない完璧な私の執事だった。


本日のシナリオ公開はここまで☆
次回更新をお待ちください☆

※製作上の都合等により、実際に収録される内容とは異なる場合があります。予めご了承ください。
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2017年1月25日発売
禁断情事:執事とお嬢様
出演:平井達矢 ほか
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