【ブーケ】禁断情事:芸能人とファン シナリオ公開 Part 1 『出会い』
- 2016年10月13日
- bouquet
11月発売のドラマCD「禁断情事:芸能人とファン」のシナリオ公開を更新♪
脚本を担当してくださった「正海春人」先生が小説風に書き換えて下さってますよ☆
芸能人とファン キャスト
松浦 駿:土門 熱
藤堂リュウ:八王子タカオ
屋良:ワッショイ太郎
鴇田:バンジョー鯉乃助
清河:二階堂 剣
■Part1『出会い』
今日も閉店時間まで残り1時間と少し。
ラストオーダーの時間が過ぎたカフェは、客足も途絶えて静かな時間だ。
それは私にとってとても日常的で、それが一つのトラブルで変わるなんて思いもしなかった――。
いつも通り片付けの準備を始めようと先輩の清河さんと話していると、不意に来客を知らせる音が鳴った。
この時間に珍しい。相当お酒を飲んだ後らしいその人は、強引に注文を通す。清河さんの指示でオーダーを受けて、カウンターに一人残った私はその人のドリンクの準備を始めた。
「ねえねえ、おねーさぁん」
コーヒーマシンの蒸気音の中にお客さんの声が響く。振り向くとその人はニヤニヤと薄笑いを浮かべていた。
「笑顔いくら~? ひゃはは」
「えっと……」
「さっきから見てたんだけどさぁ、お姉さん可愛いね。ここ何時まで? さっきラストオーダーがどうのって言ってたよね? 上がりならこの後どっか行こうよ。 おごるよ?」
「っ、申し訳ございません。仕事中ですから……」
極力相手の神経を逆撫でしないように、笑顔を張り付けながら作業に戻る。ソーサーを出して準備ができたカプチーノをそっと置いた。
「お待たせいたしました」
そう言って出した瞬間、その人は私の手を掴んだ。
カップが倒れそうになって、私はその手を振りほどくこともできずに固まった。
「つかまえたー。やっぱお姉さん腕細っ。俺、好みだわ」
「あの……やめてください」
「いいじゃん、ちょっとくらい相手しろよ。もうあんま客いないし暇だろ」
「困ります……!」
清河さんを呼ぼうにも喫煙ルームの補充に行ってしまってそれも出来ない。ましてや相手はお客様だ。大声を上げるわけにもいかないし、失礼な態度は取れない。なんとか対処しようとしているとこちらに近づく足音がして――。
「おい、あんた」
そう声をかけたのは、奥の席に座っていた人。帽子を被っていたから強く印象に残っている。酔っぱらったお客さんは心底苛立った様子でその人を睨みつけた。
「あ? なんだぁ?」
「何だはこっちの台詞だ。さっきから見てれば……不愉快だ」
「はぁ? 見てんじゃねえよ」
「ラストオーダーを過ぎてるのに無理やり注文したり、スタッフの仕事を邪魔したり……」
酔っ払ったお客さんがなおも詰め寄ってもその人は毅然とした態度のままで。
「ここはナンパをする場所じゃない。あまり騒ぐなら警察に通報する」
「あぁ!?」
「営業妨害……に、なりますよね?」
その人は私の方を一瞥した。私もその言葉にハッとすると酔っぱらったお客さんはようやく私の手を放して、悪態をついて出ていった。
「すみません。いきなり口出ししてしまって」
「い、いえ……ありがとうございます」
「出しゃばる気はなかったんですけど、さすがに見ていられなくて……」
話していると補充に出ていた清河さんが戻ってきた。清河さんもこっちの様子を気にしていてくれたようだ。けれど、その人は事情を説明し終える前に店を出て行ってしまった。
どこかで見たことがあるような……。
そんなことが一瞬頭を過る。けれどそれ以上声をかけることもできなくて、私はその後ろ姿にそっと頭を下げた。
今回の更新はここまで!
次回の更新は【 10月17日(月) 】、しかも9日間連続更新!!!を予定しています!
お楽しみに☆
2016年11月30日発売予定
禁断情事:芸能人とファン
出演:土門熱 ほか
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