【ブーケ】禁断情事:先生と生徒 シナリオ公開(5)『知ってたんだ』
- 2016年07月24日
- bouquet
8月発売のドラマCD「先生と生徒」のシナリオ公開を更新♪
脚本を担当してくださった「正海春人」先生が小説風に書き換えて下さってますよ☆
先生と生徒キャスト
<本編出演>
杉原祐也:四ツ谷サイダー
谷口 明:絢瀬 零士
羽瀬冬一:背脂増々
真澄加奈:逢
滝本康介:常磐 周平
<ステラワース限定版出演>
杉原祐也:四ツ谷サイダー
<連動購入特典出演>
杉原祐也:四ツ谷サイダー
谷口 明:絢瀬 零士
羽瀬冬一:背脂増々
真澄加奈:逢
Part.5『知ってたんだ』
先生や滝本くんと別れて、私は羽瀬くんと一緒に図書館へ向かっていた。加奈ちゃんが図書館のグループ用個室を抑えてくれているらしい。
授業が始まるまであと数秒。校内は静かだった。
昼休みの件やさっきのことで、なんとなく居心地の悪さを抱えていた私は口を開いたらボロが出そうで怖かった。
相手が羽瀬くんだから特別会話をしなくても大丈夫――。
そう、思っていたのに願った沈黙はとても短いものだった。
「……なあ、一つ聞いていいか?」
尋ねる声に私は顔を上げるだけで応えた。それを確認すると羽瀬くんは言葉を続けた。
「俺はこういう下世話な話題は好きじゃないんだが……お前、先生とどうなってるんだ?」
――ああ、やっぱり。
私は心の中で呟いた。
なんとなく、聞かれるような気がしていたから。だからこそ彼の前で妙な緊張感に包まれていたのかもしれない。
私は、否定も肯定もしないまま、適当な言葉を並べた。
「珍しいね……羽瀬くんがそんなこと言うの」
「あー……悪い……知ってたんだ。お前が先生のこと好きなの。さっきは加奈と明の手前、ああ言ったけど……」
直接核心に触れられて、胸が拍動した。
予想もしていなかったことを言われて、『どうして……』と呟いた私の言葉には、感情が上手く乗っていなかった。ただ宙に浮かんだような感じだ。
何も答えていないのに羽瀬くんは私のその感情の乗らない言葉に返してくれた。どうやら2年の夏合宿の時、私が先生に告白をしているのを聞いていたらしい。
噂のこともあるから、羽瀬くんは真実が気になったのかもしれない。口を閉ざす私を心配するように、迷いのない声音が響いた。
「……誰を好きになろうとお前の勝手だが、先生はやめとけ」
「大丈夫だから……」
「何が大丈夫なんだ。相手、教師だぞ。誰にも言えない関係なんて、幸せなはずないだろ」
幸せなはずがない。
今日はそんなような言葉ばかり聞いていて、心が押しつぶされる。けれどどんなに周りに言われても、先生がくれる言葉や温もりが全てだった。
それでも好きなのだと呟く私に羽瀬くんは深い溜息を吐いた。
「ごめん、心配してくれたのに……」
「いや……まあ、想うだけなら問題ない、か……悪いな、変なこと聞いて。忘れてくれ。でも、何かあったら言えよ? 少なくとも、ゼミの奴らはお前の味方だから」
クールな羽瀬くんが優しく笑みを浮かべていた。同時に昼間同じように心配してくれた加奈ちゃんや谷口くんの顔も浮かんで、私は心の中で何度も『ごめんなさい』を呟いていた。
今回の更新はここまで!
次回は【 7月26日(火) 】を予定しています。
2016年8月24日発売予定
禁断情事:先生と生徒
出演:四ツ谷サイダー ほか
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