【ブーケ】禁断情事:先生と生徒 シナリオ公開(2)『待ってるから』
- 2016年07月10日
- bouquet
8月発売のドラマCD「先生と生徒」のシナリオ公開を更新♪
脚本を担当してくださった「正海春人」先生が小説風に書き換えて下さってますよ☆
先生と生徒キャスト
<本編出演>
杉原祐也:四ツ谷サイダー
谷口 明:絢瀬 零士
羽瀬冬一:背脂増々
真澄加奈:逢
滝本康介:常磐 周平
<ステラワース限定版出演>
杉原祐也:四ツ谷サイダー
<連動購入特典出演>
杉原祐也:四ツ谷サイダー
谷口 明:絢瀬 零士
羽瀬冬一:背脂増々
真澄加奈:逢
Part.2『待ってるから』
私が一方的な想いを抱いてしまって、その人は応えてくれた。だから絶対に迷惑をかけたくない。噂話が一旦なくなって安堵したものの、胸は騒いだままだった。
膝の上できゅっと拳を握って、そのうるさい胸の音を押し退ける。それなのに、今日という日は色々と上手くいかない。
近づく足音に気づくのと同時に、谷口くんがその名前を呼んで私も弾かれたように顔を上げた。
「ああ、こんにちは。賑やかな声がすると思ったら君たちでしたか」
突然の先生の登場はその場の空気を凍らせた。今の今まで先生の名前を出して、例の噂話をしていたのだ。確認するように羽瀬くんが尋ねた。
「……杉原先生、いつからここに?」
「今来たところですが? 本館の自販機、コーヒーが売り切れで……何かありましたか?」
「な、なんも? ねえ?」
「あ、ああ……」
首を傾げる先生に加奈ちゃんと羽瀬くんは曖昧に返事をする。
2人の様子に先生もそれ以上踏み込むことはない。先生だから学生のことに必要以上に立ち入らない……当然と言えば当然だ。
とりあえず話は聞かれていなかったようで私はそっと息を吐いた。
「っと、そうだ、君に言い忘れていたことがありました。時間のある時でいいので、研究室に来てもらえませんか?」
安心したのも束の間、先生は足を止めて私に向かってそう言った。思わずすぐに腰を上げたけれど、先生は優しく制止した。
時間がある時でいいと言ってくれた先生に、わかりましたと頷く。
「はい。いつでもいいので、よろしくお願いします」
先生は笑みを浮かべて言いながら、私の横を通り過ぎる。
その瞬間、私にだけ聞こえるように低い声が耳を掠めた。
「待ってるから」
その囁きが私を金縛りにして、学食の喧騒が一瞬かき消されたように静かになった気がした。
先生の足音が遠ざかっていくのと同時に、辺りの音も元に戻っていく。
それくらい先生のそのたった一言は大きいもので、鼓動は大きく乱れていた。
「……はあ、マジでびびったわ」
「聞かれてはいないだろ」
「お前らがわけわかんねーことばっか言ってるからだぞ!」
皆が口々に話す中、私は先生の声がリフレインして、やはり座ってはいられなくなっていた。立ち上がって先生のところに行くと告げると加奈ちゃんが首を傾げた。
「え? 行くって……まだ昼休み半分も残ってんじゃん。杉原も急いでないって言ってたし」
「でもレポートに不備があるって言ってたから」
曖昧に笑みを浮かべて先生が言っていたことを理由に出す。すると羽瀬くんが後押しするように声をかけてくれた。
今回の更新はここまで!
次回は【 7月17日(日) 】を予定しています。
楽しみにお待ちください!
2016年8月24日発売予定
禁断情事:先生と生徒
出演:四ツ谷サイダー ほか
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